マスク着用に関する規制の緩和により外出する人々が増えるにつれ、花粉などの季節性アレルギーで不快な症状が現れる人々も増えている。実際に韓国国民のうち20~30%が何らかのアレルギー疾患を患っており、韓国健康保険審査評価院によると、アレルギー疾患により医療機関を受診する患者数が2021年1月154万3135人から4月243万2365人へと57.6%増加した。アレルギーは、周辺環境に含まれている様々な物質によって発症し、免疫力が低下したとき、または免疫系が未熟な乳幼児に発症する可能性が高いため、格別な注意を払う必要がある。

アレルギー性結膜炎の主な症状としては、目のかゆみや目の充血(結膜下出血)がある。両目に同時に症状が現れ、粘性の強い粘液を分泌したり、目の異物感、涙目、痛み、光がまぶしいなどの症状が現れることもある。急性アレルギー反応の場合、目の充血(結膜充血)を起こし、さらには白目が腫れてぶよぶよする結膜浮腫を引き起こすこともある。

その中でも症状がひどい春の角膜炎は、ひどいかゆみ、糸状の分泌物、激しい炎症反応によるまぶたのたるみや伸縮などの症状が現れることがある。特にケア方法を間違えると、再発を繰り返したり、新生血管を伴う角膜混濁、進行すると角膜潰瘍などを引き起こすこともあるが、視力障害が永遠に残る可能性があるので注意が必要である。アトピー性角結膜炎も春の角膜炎と同じように、目の周辺に赤い発疹ができて荒れるなどの特徴がある。

アレルギーとは、ある特定の異物に対して過剰に反応する一連の免疫学的反応をいう。アレルギーを発症する原因はひとつとは限らず、遺伝的要素、アレルギーを引き起こす原因物質である「アレルゲン」、ライフスタイルの変化、環境などいろいろな原因によって生じる。最初にアレルゲンにさらされたとき、そのアレルゲンに対して過敏になった人が再度アレルゲンにさらされると、IgE(特定抗原に反応する免疫グロブリンE)をもつ好塩基球と肥満細胞から物質(例：ヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン)が放出され、これが周囲の組織に作用して腫れや炎症を引き起こす。このような連鎖反応は、組織を継続的に刺激して傷つける。この反応は軽度のものから重度のものまでさまざまである。

遺伝的な要因としては、両親のうち片方の親にアレルギー疾患歴がある場合、子どももアレルギー疾患になる確率は約50%で、両親共にアレルギー疾患歴を持っている場合は約75%の子どもがアレルギー疾患になると言われている。環境的な要因としては、主に空気の乾燥や季節の変わり目などがあげられるが、特に春になると日頃人体に無害とされる花粉やホコリなどに免疫機構が過敏に反応して、鼻や気管支などの粘膜に炎症を引き起こす。一般的なアレルギー症状には、くしゃみ、涙目、眼のかゆみ、鼻水、皮膚のかゆみ、発疹などがある。

アレルギーの症状が疑われる場合、迅速に診断検査を行って原因アレルゲンを確認し、原因となるアレルゲンを回避することが重要である。よく行われるアレルギー抗原検査に「マスト(MAST、Multiple Allergen Simultaneous Test)検査」がある。これは、血液検査で、ペットの毛、食物、花粉、ハウスダストダニ、カビ、虫などの原因アレルゲン108種類に対し、IgE抗体が血清中に存在するかを測定する検査である。

皮膚テストの際にアナフィラキシーショックが起こる危険性がなく、幾種の原因アレルゲンを同時に測定できるため、乳幼児をはじめさまざまな症状を持つ皮膚疾患患者にも安全に検査ができる。

抗ヒスタミン薬や鼻噴霧ステロイド薬などによる薬物療法を先に行うこともできるが、アレルギー疾患の場合、原因となる抗原を遠ざける回避療法が最善の選択肢であると言われている。これは、大韓喘息アレルギー学会のガイドラインにも記載されている事項である。

例えば、PM2.5や花粉などにアレルギー症状を起こす人は、春頃にPM2.5濃度が上昇しそうなときは外出を控えたり、目に刺激を感じる日は、コンタクトレンズの代わりにメガネを使うなどして刺激を減らす努力が必要である。ハウスダストやハウスダストダニなどが原因で起こるアレルギー性結膜炎の場合、部屋をよく換気したり清潔にし、布団などをこまめに洗濯する。また、目薬を1日に数回点眼して目の表面のホコリなどを洗い流すのも効果がある。また、かゆみなどの症状が現れたときは、目をこすらず冷たいお絞りなどで冷やすとかゆみを抑える効果がある。
アレルギー性結膜炎が視力低下につながることはまれであるが、長く続いたり症状が悪化した場合は、眼科を受診して適切な治療を受けるようにする。